こころのいちばんやはらかいところ

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時の庭

原始の庭は荒れっぱなし
鍵穴ひとつ
朝までかかりそうな束の鍵
頼んだ覚えのない管理人
いっそ木戸をぶち壊そうか

ティラノサウルスの道
おまえと私の白亜の庭
お腹が空けば食べ
運がよければ貪られず
何も食えなきゃ死んでいく

なんて無駄のないセカイ
進化の行きつくところ
人間なんかにならなきゃ良かったと
なまじっか覚えた言葉で心を思う

言語を忘れてゆくまえに
まだ
やはらかい部分があるうちに

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家出中

*掲載の詩の著作権は、放棄していません。
 無断の模倣、コピーはご遠慮下さい。

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http://the existence is raw, and the non-existence is not born.com/


有のなかの無であり
無のなかの有であれ

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ジーンズ


洗いざらしのジーンズ
窮屈な刺激のスイッチ
アカルイミライは
いじらしいヒミツ

もどかしさで隙間を埋めませんように
ため息が空を懐かしがりませんように
合図を素直に受け入れられますように

あの頃みたいなセツナイ思い
それはそれできれいだけれど
拾うことに忙しく
私は抱えきれない


日向の匂いのジーンズ
くたびれた日々を洗い
アカルイミライは
風のなかの光と影


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ゆりかご


ねぇ
誰が眠っているの?

幼ごころの記憶には
逆光を背負うシルエット
目蓋の裏に宿る祈り
こころの瘡蓋の剥がれ落ちる

頬を伝う泪は手のひらより熱いこと
指先は戸惑いながらも文字を書くこと
数秒の瞬きには同意があること
さっきといまの境界線に立ち会って
映る未来はわたしを通じて過去になる

ねぇ
何処にしまわれてるの?

わたしの前で潤んだ瞳
解いた感情の受け皿
決して他言はしない口
こころの琴線のしんと泣く

見破っていることを知っていること
泉には疑いの木の葉も浮かんでいること
必死に寄り添う嘘を剥がしたりしないこと
底に横たわる泥は眠らせたままがいい
仕方なく記憶をいきる これからも 

ねぇ
そこを越えたらいけない
わたしはもっと裸にする
きっと

わたしは許していく自分を寝かしつけ
はいもいいえも言わない安心になる
あなたは愛に囲まれたまま
手出しの出来ぬ独りになる

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春の嵐


なにかが動く
それは
それが
春なのか

やがて忘れゆく大地に
根を下そうとする種子
そこに居ついても
だれも、
なにも、
わたしの、
世界の、
今日など、
ましてや明日など


大風は
その眼力で
頼りない土を吹き飛ばし
目を擦る木々を揺さぶり
軒下の暗がりを覗き込み
黙ったままの屋根を脅す
そして
法廷のような笑みの無い
迫り降りる空に向かって
詰問する


おまえは 
どこに 
いるのだ!


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がらんどうの家に


がらんどうの家に置いてきたもの
過ぎ去ってみれば証のようなもの
こころの内側に小さな日向
そんな風景もあったかもしれないと
しまえる箱がありますように

壁の画鋲に留められた
寄りかかるため息の色
在りし日の気配は
積った塵が光の帯に遊び戯れ

忘れられた子ども部屋
存在を隠す北向きの窓
孤独を片付けない和室
生きる仕草をする洗面所
それでも繋いだキッチン

遮るカーテンのないリビング
沈黙をくすぐる過の日差しは
ことのほか眩い



がらんどうの家に見たものは
ごっそり抜けた其処にあった暮らし
無邪気に笑っていた日々を
平気で「嘘でした」と言ってしまう
いのちでありませんように


2010.04.17 *Sat Writing

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抱き合う


ふたりは裸で抱き合う
質問攻めにした口は
答える口を強引に封じる
欲望は忙しい
その間
それぞれ在らぬところにいる
だけど
とても冷静で居続けるところ
頭の芯がぞっとしている
ひとりでいたら寒いところ
はやく戻ってきたいから
たがいの瞳のなかを捜す

ああ、居た

おかえり
ただいま

ふたりは裸で抱き合う
こんどはじっとしている
生まれたときから知ってる温もり
欲望は用なし
もう
ひとりぼっちになりたくないから
そして
肌を撫でる音を聴いている
ひとりでいても温かいところ
それから静かにしている
たがいの心音に耳を傾け

どうか眠ってしまうまえ
腕のなかをぎゅうっと強く
そして解いて

ああ、居る

ただいま
おかえり

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モザイク


ここに空が欲しい
すると
こころの欠片たちが一斉に名乗りをあげる
空は多くの人々に期待され、在りつづける
なので
ときどき見向きもされなくなる

わたしは欠片を磨き
または時代の垢に覆われたまま
光と影を置いていく

夢見るチュニジアンブルー
憧れの近くにも及ばない 
で、
未完成がのた打ち回る
それゆえ
わたしはわたしの承諾を得
生きている


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重たい海


重たい海に浮かんでいる
いつもひとりじゃない
意識を失わない程度の沈黙がいいけれど
最近のわたしの周りったら騒がしい

流木にでもなった気分で
それは誰かがしがみついているから
血を分け与えた者だったり
分かち合おうとする者だったり

成るようになる、と言ったひとは
成ったことに文句をいい
成るようにする、と言ったひとは
成るためにわたしを食う


黙りこくりたい
動きたくない
見えなくなりたい
溶けてしまいたい
不必要になりたい
だけど死にたくない

わたしを浮かべる海は重たく
沈めたい夕陽があるのに


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