こころのいちばんやはらかいところ

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おんなごころ


わたしとあなたのすきまには
時の砂が詰まってる
わたしを抱きしめることはない
あなたのまえでは少女も
いつまでたってもおねえさん

干からびた手にぞっとして
あなたの正面から少し外れる
わたしが初恋らしきをしてた頃
あなたは洟垂れの泣き虫で
わたしはなにかに意地を張り
意味もなく空を見あげる


あなたとわたしのあいだにある
許されない場所

もう
おんなにはなれないな

それはそれで悲しいな

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各駅停車に乗って


またね、
こんどはいつ会えるかな
あなたのくれたくちなし
二年ごしのおねだり
わたしは各駅停車に乗って

よろしくね。
人見知りの葉を撫でながら
ウォークマンをONにした
ごきげんに揺られて
わたしは各駅停車に乗って


ときどきこうして
約束を少しだけ分けてもらう

わたしは各駅停車に乗って

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ひとり


こころの中を覗こうなんて思わないで
ふたり交わした言葉の中に姿さがして

たくさんの沈黙のなかにわたしは生きてる
きみがまだ生きていない沈黙も持っている
それらが黙らないから
わたしはいつも監視している

雑踏のなかで脚を止めても

どうか
振り返ったりしないでほしい



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そうだったのか


なーんだ
そうだったのか
あのときのあれだったのか
やっぱりそれだったか
それともこれか?

いずれにしても
そうだったのだ
そうじゃなきゃ
そうでなくなる

なーんだ
そうだったのか
やっぱりそうだとおもっていたよ
そうならそうとはやくいってよ
それともこうか?

いずれにしても
そうだったから
そうじゃなきゃ
そうじゃなかった

なぁんだそうか
そうだったのか

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横須賀線


ちょっと長い一駅
まだ見慣れない車窓から
雑木林が駆けていく
夜は 
来るのではなく
ずっと前から居る
そして
もうすぐ ぬっと顔を寄せる
遠くで騒がしい感情の梢たち

今日はどうだった?
わたしダイジョウブ?
そんな日もあるさ
音もなく ザワザワザワザワ


ビルの窓や看板は
やんわりとした黄金に映え
伏せた睫毛を揺らす
夜は 
来るのではなく
ずっと前から居る
そして
もうすぐ ふっとため息つく
規則正しさに添う虚ろな車輪

わたしダイジョウブ?
明日ダイジョウブ?
こんな日もあるさ
影もなく ざわざわざわざわ


もうすぐ 私でなくなる
もうすぐ 誰でもなくなる
わたしダイジョウブ?
きみはダイジョウブ?
そんなこんなで

音もなく 
影もなく
夢でなく、

ざわざわざわざわ 

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明日。


困惑を面倒くさいと思ったら
早く眠ることにするよ
逃げるようにロフトに上がり
絶望に似た寝息をたてる

「また明日」と手をあげて
二人 ちょっと 揺らぐ
視線の合わない笑顔を交わし
もの言いたげな口を封じた

それでも生きてきたんだよ
虚勢のようなプライドを
君のやり方でやんわり踏み
ミシッと歯切れの悪い音
私のこころで鈍く響いた

「また明日」と手をあげて
二人 ちょっと 揺らぐ
陰気な感情が漏れる戸を閉め
振り向かないで足を速めた

それでも生きていくんだよ
理由が無くても意味は欲しい
私だけのルールに沈黙する
ゴクッと鼓膜を響かせて
君のこころで遠く響いた

いいかげん窮屈に嫌気がさしたら
空っぽにしてがっかりするよ
追いかけてきたメールを閉じて
希望に似た眠りを強いる

生きてることに疲れたら
「また明日」と手を振るよ
「また明日」と迎えにいくよ

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