こころのいちばんやはらかいところ

2

想い

もう、あんまり意地も張れなくて
転んでいても 転がっていても

聴こえなかった振りしてね
気付かなかった振りしてね
そのまま話をし続けていて

たったそれだけのことなのに
たったそれだけのことなのに

あたしはもう自分に敗れそうです

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4

自分単位

いつも遠くをみている君
そんな君をみている僕は
ちょっと切ない

そのちょっとは
君の隙間、僕の全て
勝負に…ならないね

勝負はもう決まっていて
君は自由を謳歌して
僕は小さく頷いている

君が明日を詠うのを
ただ見ているだけで
ちょっとしあわせ

そのちょっとは
君の全て、僕の隙間
それでいいのかも
それがいいのかも


0

「君」という駅への切符は
今日を生きる希望
明日につながる道

改札を抜けなくても
持っているだけでも
良かったんだ
ささやかなる僕の幸せ

きっと此処から動けない
きっと其処へは行かれない

インクが滲んで
「君」の文字が消えてしまうまで握り締めて
幾度となく最終列車を見送った

夜は長く冬は始まったばかりで
天窓に掛かる月は
満ち欠けを繰り返し
時間だけが通り過ぎてゆく
瞼の裏に棲みついた笑顔は誰のもの

構内の高い天井を
何度も仰ぎながら
白くあがってゆく
ため息をずっと見てる
響くのはいつかの君の声
懐かしさがこみ上げてくる

老いていることは
もう忘れた
ベンチに座ったまま
白いひげのなか
静かな幸せの口を結び
…微笑ってる

君への切符を握りしめ
永眠ったことにも気付かずに
僕は

…微笑ってる

0

コエ。

灼熱のアスファルトから出でた影が足首を掴み
緩い血が身体を侵すのを許さなかった
浮き足立つ軽い言葉は振り払われ
進んで渇きを覚え 燃え尽きるなら灰になれ

欲望に狂い
葛藤に喘ぎ
醜態を晒す

自ら飢えて満たし 震えるような激情に溺れ
ダイスをその手で投げたいのならば
鉄の味をすすり熱い痛みを思い出せと
獰猛な夕立に立ち尽くし声無き声を聴くのだ!と

0

庭園の花

いつかあなたの耳元で
告白をする日が来るのでしょうか
秘した声 静寂のなかの息使い
身じろぎもせずの時刻(トキ)の番人
あなたに囁いた言葉が
彼らに盗まれてしまうまえに
どうか目を閉じて頷いてください

いつかあなたの小指と
約束を交わす日が来るのでしょうか
契約の となりでそっと絡まる指
控えの間の咳払いは神の執事
あなたと結んだ秘密を
彼らに暴かれてしまうまえに
どうか私の瞳に頷いてください

いつかあなたの手の甲に
許しを請う日が来るのでしょうか
ひざまずき 両足首の痣を隠す
永遠の呪いをかける宮廷画家
あなたを誑かしたという罪で
彼らの説話になるまえに
どうか私の愛に気付いてください 

彼らの説話になるまえに
どうか 私の愛に気付いてください

2

森の待ち人

地図にも載らない小さな森
空は小さく天窓のように
此処の夏は木洩れ日だけ
守りの苔に覆われた小道を踏み
老木に耳を当て命の水の声を聴く

鳥のうたを少しばかり覚え
風に応える木々の話が
ときおり読書の邪魔をする
午後には夕げのための薪を割り
長い夜を暖炉と月明かりで過ごす

口ずさむ歌も思い出し笑いも
森を生きるささやかな楽しみ
帰るとも分からない人を待ち
街の時計の針は回りが速すぎて
時の流れに少しだけ遅れて暮らす

湖面に写る月は沈黙に冴え
夜風を少しだけ許し揺らぐ
私の差し入れた指から生まれた
静寂を破る波紋の音が夜空を走る
さて、あなたは私を思い出すのかしら

あなたにとっての「ふと…」は
偶然などではないのです

あなたが私を忘れないのは
私があなたを忘れないから

2

帰り道

きいてほしい事がたくさんあるの
とちゅうで口を押さえなきゃ
ひゃくねん喋り続けるかもよ
そんなことを夢見てる
あたしの寂しい夜

あなたのことをもっと聴かせて
それでも時間が足りないなら
世界中の時計を全部こわすから
そんなことを夢見てる
あたしのカタヲモイ

想いを残したくて描いてみる
どんな色が好きなのかな
まっ白い紙に戸惑いなく
そんなことを夢見てる
あたしの画用紙

あなたの影を踏みながら歩いてる
背中に とん、とぶつかったら
ん?って気付いてくれるかな
そんなことを夢見てる
あたしの帰り道

手を つなげたらいいのにな
あたしの 帰り道

2

白と黒

オセロの石のような白と黒
どっちでプレイをしてもいい
どちらも私だから
私の暮らしは裏返ってる
見渡せば基盤は黒が主流

既存という黒は私を裏返し
白はじっと沈黙をしている
どちらも私なのです
負け惜しみではありません
私の行方が知りたいのです

陰陽を繰り返す指紋は軌跡
出来れば早く終わらせたい
どちらも私だから
放っておくわけにもいかず
自分という石を懐に仕舞う

長所と短所は裏表だけど
白に空を見せたいのです
どちらも私なのです
使いどころが定まらず
胸のポケットで眠っています

オセロのように白と黒
      どちらも私なのです

5

夏休み

きのう最初の蝉がないた
いよいよ始まる夏時間
少しだけ
ゆっくり過ぎるといいと思った

夢を惜しみなく描きたい
ずっと飽きない子ども時間
欲張りだよ
いっぱい詰め込みたいんだ

宿題は午前中の早いうち
だって今日が終わっちゃう
ドリルなんか
カミキリムシの籠のなかに

日に焼けたセミ取り少年
身丈の倍の網をもち
木のずっと上
何処にいるの?一緒に見上げる

祭りの夜は待ちわびた
浴衣と下駄でカランコロン
金魚すくい
二匹の金魚を忘れないで

見上げる空は眩しくて
白い雲にやくそく乗せて
夕焼けに
切なくなってもまた明日、と

時間が止まるといいのにな
指折り数えて足りないくらい
おもいでを
きみと一緒に つくりたい

少しだけ──
   ゆっくり過ぎるといいな 

4

アイ ノ カタチ

呼吸が苦しいくらいに抱きしめる
腹から湧き上がる熱いモノ。怒り
軋む背骨、抉る痛みを分け与える
何気なく、の半端な手は払いのける

風は、止む──
傷つかないように傷ついて
気付かれないように気付く
死んだように投げ出された手を
──手繰り寄せる

胸のケロイドに優しくキスをする
泣きながら求めるままに愛撫する
吸う息、吐く息、混ざる息、醒める息
肩越しに隠れていた童子と目が合う

振り子が揺れる──
音のない暁鐘、波動に首を竦める
大気を震わせ時空をゆっくり這う
睨みつけた運命の狭間に掛けた手
──振り落とされるな

掌の刻印と浮き上がる隠れ文字
侵すことと壊れることは同じ数値
奪い、与え、混ざり、慈しみ、育つ
記号と化した永遠のメビウスの輪

凌ぎを削る──
正面に立ち真空の風と対峙する
破り捨てた免罪符が宙を舞う
世界の暗転に誰も気付かぬ瞬く間
──眼を逸らすな


あなたが 欲しい

3

迷路庭園

たどらなかった道筋の行き止まりに君はいる

僕らは決められた時間を
守らなくてはいけない
慌てて走ったりして
方向感覚を失って
現在地が分からない
地図のマッピングができない

掛け合っていた声は遠く
背の高さを越える生垣に
君は吸収されていく
考えなしの君の行動
見下ろせる高台は遠い
もう、僕の直感だけを頼りに

迷ったらそこを動くな、の鉄則
聞き分けのない君は
進んで迷子になる
変わる景色に誘われる
きっとあの静かな辺りで
途方に暮れてしゃがみ込んでる

たどらなかった道筋の行き止まりに君はいる

4

道端にて

なんだか分からないうちに
月日は過ぎて
放っておいたって上から埃が積って

それから忘れっぽくなって
あれ、それの
会話でも十分、通じてしまうみたい

なんだか知らないけれども
目も悪くなって
近くも遠くも見づらいから見てるふり

それから同じ話を繰り返して
それ聞いたよって
そうだっけ?と言いながら続ける

さようなら、のお辞儀だけど
一回でいいから
頭をあげてそのまま別れましょう

これが今世のお別れになって
しまうかもしれない
だから丁寧に「お元気で」がいいかな

へんなの持っていきたくないから
「お元気で」がいいかとおもう

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夜想曲

長いまばたきに願いを込める
雲を割って月が冴える晩に
空を繋ぐ群青の天幕になる

耳を澄まして産声をさがす
寝息のような静かな点滅
空を瞬く生まれたての星になる

唇に指をたてて制止を促す
草むらを驚かせないように
空を走るひと筋の風になる

手のひらの器で湖面を掬う
三日月の揺らぎを飲み干し
空を奏でるノクターンになる

今日がそっと眠るころ
夜空を奏でるノクターンになる

4

そう、雨だった

あれから なんねん経つんだっけ?
指を折って数えてみる
閉じて開いてまた…… 閉じた
                  わ か
まだ数回だったけど他にもお死別れはした
そのつど悲しさは覚えていったけれども
「ずっと」が無いということをキミではじめて

蒸し暑い雨の昼下がりはねずみいろの空
煙りが雨に打たれてそれすらも空事のよう
キミとの思い出はいつも雨降りだったこと

パチンコ屋でフィーバーして遅刻してきた時
今のようにコンビニなんてないからずぶ濡れ
何で雨宿りしないの?そりゃ頭にきてるから

毎年のオアフで買出し当番の抱えた茶袋
突然のスコールで走り出し破れ出す茶袋
おいっ!拾うの手伝ってよ、のときもキミだ

説明しにくい関係だったけど成り立っていた
お前とだったら結婚してもいいよと言っても
友達が長すぎてあたしは越えられなかった

あたしの付き合ってきた男のことも知って
キミの彼女歴も知っててさ、どうなのかな
なんて笑いながら無口になった日も雨降り

キミが雨男、お前が雨女なんて話はあれ以来
昨日さ、彼女から電話があったよ…知ってるか
つまらない愚痴を溢しちゃったよ…知ってるね

別に此の日しか思い出さない訳じゃないよ
もう、あたしはキミの想像を遥か超えて老い
キミより年上だからお前なんて呼ばせない

あれから なんねん経つんだっけ?
指を折って数えてみる
閉じて開いてまた…… 閉じた
今日は そっと思い出すことにするね

0

縮図

そこにある古びた地球儀を回している
まだベルリンの壁が崩壊する前
北のうえのほうも未だソビエト連邦共和国
南極のほうから剥がれかかってる丸い地図

地球の回転と反対方向に回したら
時間はまき戻るのかな、なんて
むかし見た映画のことを少し思い出した
きっと最初から地球は終わりに向かっている

バレーボールくらいの地球は直ぐ明日
宇宙からみたらの僕たちの存在
誰も知ったことの無い呟きが誤解を生む
地球はもう汚れている手垢がつき黄ばんでる

このあいだ消滅した星は光年という単位で
消え去った今頃になって写るのか
はるか彼方で音も無く散った星のいま
欠片は圏外で不規則に浮遊しているだけで

きっと宇宙はため息とかで出来ていて
誰かが泣いても笑っても怒っても
その揺れを無防備に受け入れているんだ
だから風も無いのにふらふら漂うんだとおもう

回っているそれを無作為に手で止めて
みんな吹っ飛んじゃえばいい、と呟く
そんなこと言うんじゃないよ、と誰かが言った
規則正しいあいつは、やさぐれている僕に言う

これをゴミに出そうかと考えているうちに
奴のものだと思い出したんだっけ
「それでも地球はまわってる」と今さら言う
知ってるよ、だって僕の手は疲れてるんだもの

8

近況

真っ直ぐ前を向いてあるく
いまの私に出来ること
思いやりは時として届かず
憎まれてしまったとしても
言い訳するより歩いていく

揺れた日々が此処にある
いまの私の背中を押す
思い出が時空の違いで
行き違いが生じたとしても
大事にしまって歩いていく

無駄なことなど一つも無く
いまの私が此処にある
無様な格好と笑われても
他に誰が私なのかと問い質し
文句を言うより歩いていく

縁は絶対のものじゃないと
いまの私はそうおもう
失うことを怖がって前に出ず
吹き溜まる日々から歩き出す
勇気の中に答えがある

弱いということを認めながら
いまの私は生きている
易い負け癖を叱咤しながら
面倒な奴だと引っ張ってる
本当は愚図る足で歩いている

それでも私は 歩いている

0

帰路の翼

羽根が抜け落ち骨格だけの翼
飛び続けた空は鉛色の

ビルの屋上は冷たい雨に濡れ
手を翳せば雲の中に消えるほど近い
天空はすぐそこなのに届かない
見下ろす街は基板のように入り組み
無関心な世界を動かしているんだね

僕の嘆きなどそっと踏み潰され
それすら気付きもせずに笑っている
それが望みだったとはいえ
恨みを買うなんて思ってもみなく
目撃されて眉を顰められずにいたい

遠くもなく近くもなく時間もなく
液晶の世界に深い霧が立ち込める
見えない足元を確かめながら
発信電波を頼りに誰かを探している
ひしめき合う人混みは受信しにくい

橋の欄干から川面をのぞいた
僕の羽根はもう飛べないみたいだ
そのとき君の声がしたんだ
「何処にいるの?還っておいで」
見上げる空は君が放った向かい風

見上げる空は青空がいいよね
休める雲もすこしあるといいよね
もう遠くまでは飛べないから
自分の棲み処を守るので精一杯かな
知り合いの妖精たちも「うん」と頷く

羽根が抜け落ち骨格だけの翼
舞い上がる雲の間に紺碧の

0

サンクスギビングの夜に

読みかけのおとぎ話を途中で閉じて
雨の中飛び出したのは傘を打つ音がしたから
キミが戸口に立ったような気がしたのかな
煙るような水墨のような景色にただ、立ち尽くした

雨あがりの空に大きな虹が掛かって
僕は立ち上がり背伸びをしながら二歩三歩
あの日の魔法が掛かるかな、と振り向いた
過去は危ういホログラムのように手を透過して消えた

夏の終わり風の向きが変わったころ
祭りが終わったその夜の町外れの木の下に
一緒に埋めた思い出を掘り起こそうか
目を瞑った僕の網膜に音のない花火が散ってゆく

まだ誰も踏まない雪の上を追いかけた
四方八方に耳を澄ましキミの足音を逃すまいと
真っ白な世界は地図が読めず迷子になる
僕はキミの物語から抜け出してしまったんだね

僕の肩にキミのしるしのサクラひとひら
変化の無い毎日に少しずつ聴こえていた鼓動
ずっと前のことなのに錆色のケロイドが
深呼吸をするたびに越えなかった境界線で時々、疼く

「サンクスギビングの夜に逢いましょう」
僕はたどりつけないまま本を閉じた
あれから何度目かの雨季を真面目に過ごして
栞を挟んだ気になるところも本棚で眠っている

「サンクスギビングの夜に いつか読んでね」
「サンクスギビングの夜に いつか喚んでね」



0

空き地の隅

キャッチミスがバウンドしながら
あしもとに転がってきた

いま、投げたボールが
放物線を描いてるうちに季節が変わり

取りそこねたら
ごめんなさい か こんにちは
ナイスキャッチなら
ありがとう か さようなら

4

食べる

理解するって食べることに似ている
そのまま丸呑みしても
あたしごはんの味がしない
受け取る君の主成分や
咀嚼の仕方やライフスタイル
こころが欲しがるものによって
違う理解で分解されてゆく
くすり も どくも紙一重

実は、
伝わらなかった部分が いちばん美味い

0

帰還

疲れた緩い血脈(ちみゃく)は
「多分、私」に帰還する
不確かだけれど、確かなるマイノリティーが
足りない何かを渇望する

消費も生産も両手を拡げたくらいなのに
それでもワタシセカイにまだ届かない

末端に送り出すべく暫しの休息
だけど本当は眠らない
眠ることさえ惜しんで好奇心を育て
清水が沸くように送り出す

今は帰宅中だから
少し疲れ気味だけど、明日は多分。



[2008-07-03  筆]

0

Open sesame seeds

まじな
呪いをするからには
        とびら 
重くて分厚い闔が理想だけど
     ないおう
外界と内奥を隔てるなら

覚め遣らぬ瞼のイメージも似てる

視覚を作動させた網膜に

ドアの前で群がる光や色が

一斉に飛び込んで襲いかかり

実のところは傍観している

「見てるようで視てない」

急なリアクションに対応出来ないタイプ

でも、嫌いじゃない

多分、DNAレベルで選り分けてる
おぼろげ
朧気に浮かぶ人影が

さっきまで目を閉じて

創造力を駆使して造り上げた君だったらいいな

頭がまだぼーっとしてる間は



[2008-07-09 筆]

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「おはよう」
自分の耳に届くように言い
それからカレンダーを捲った

「おはよう」
あたしの後をついてくる猫に言い
それからカーテンを引いた

「おはよう」
期待を大きく裏切る空に言い
窓を開け放って今日を取り込む

たくさんが詰まった半年が過ぎ
これからもたくさん積んで過ごす
もう少し待てば
貫けるような碧い空に
きっとこだまするあたしたちの声
今日はその初日
それぞれの場所で各々を生き
私画素を束ねて配信
泣いたり笑ったり時にふざけて

「おはよう」今日から7月

知ってるよ、だから何?なんて奴は
「ずっと昨日を貪っとけ」と
破いたカレンダーを渡しておけばいい

気付かない奴にそんな今日は来ない
馬鹿にする人はそんな今日を生きない

誰も気にとめるようなこともない
自分だけの今日に ちゃんと自分を参加させて
少しだけ丁寧に生きてみようと思ったんだ

 

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