こころのいちばんやはらかいところ

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Jigsaw puzzle

枯れることを期待されて待たれた時間

指はPieceをYesと言わない
無理にはめ込もうとしても反って
床に散らばるそれらしき欠片を
拾う振りしてポケットにしまったね
わたしは何も言えずに
だから

過去に怪我をした指先の傷
触ってももうあたらなくなったよ
ひとり言のようだけど誰でもいいから聞いて
そして「良かったね」とひとごとのように言って
それでも私は「うん」といって笑うから

自分のなかに片隅を置いて
窓から差し込む脆い日差しが
床をつたい壁を昇っていくのを
傍観のようだけど意識はしている
顔も上げずに夢中になって
そして

絵のない真っ白のパズルを仕上げなくちゃ

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こっち側

俯くのにうってつけの日陰の道を
黙々と歩いておりました
屈託なく自然に洩れた
あなたの笑顔に出合ったような
束の間の日向に包まれた時だけ
生きていて良かったと思うのです

自転車の影があまりにも得意げで
踏まないように気遣いもしました

幸せの行方を知ってる人々たちは
向こう側をあたりまえに
それでも私は横断歩道を
そのためだけに渡ろうとはしない
こっち側を歩くのはいのちの癖かな
そんなひとり言を口にしてみました

ふわっと包まれたときの日向の暖かさを
忘れられなくて黙々と歩くわけなのです

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古い音

夜の雨には
思い出の付箋がひらひらと
濡れて打たれています
そのうち剥がれてしまうのでしょうか

窓をあけて
鼓膜に滑り込ませる雨音
部屋に忍び込むのは
思い出にため息を見せる白でしょうか

誰かの傘を
打ち続ける安堵の帰宅に
玄関の電燈は柔らかく
肩の滴をぬぐってくれるのでしょうか

古いレコード
プツプツと針が溝を掻いて
寄りかかる椅子には
過去も凭れかかっているのでしょうか

ヘッドホンを外し
静まる部屋にストーブを点け
窓を閉めようとしたら
水たまりに茶けた付箋が漂っていました

2

猫ガ居マシテ

ベッドの上で寝転んで
本を読んでおりましたら
静かな猫がやつてきまして
咽をゴロゴロ鳴らしながら
右腕に寄りかかりました

次第に体を脱力して
真剣に寝始めたので
腕がしびれて来たのです
一丁前に鼾を掻くので
思わず笑つてしまいました

物語にしおりを挟んで
昼寝と決めこみまして
キルトを掛けて丸まると
出遅れの猫が憮然として
潜り込んでまいりました

ゴロゴロぐうぐうすうすう
ぬくぬくしながら眠つたのです
ゴロゴロぐうぐうすうすう
ぬくぬくしながら眠つたのです

2

生欲

痛いことや恐いことは嫌いなので
自ら命を絶つことは出来ないけど
生きることを止めようと思いました
折りしから食欲はなく食べなくても
数年かけて溜め込んだ内臓脂肪とやらが
仕方なくもケチケチ身を削りだして
反逆を試みているようでどうしてなかなか
お腹はグゥ~と鳴るけれど空いてはいず
頭に届かないみたいでしてやったりです
眠れない夜を昼間に貪り夜は薬でねじ伏せ
死後の前倒しもありかもしれません
ずっと眠っていると生きているのか死んでいるのか
どっちでもいいような気にもなってきます
やめたはずのタバコに火をつけました
クラクラと意識を持っていかれるようで
このまま逝ったらいいかと思いました

ですが、美味い
なんてこった!

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ウラニハニ イマス 


          眞冬

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神様の手帳

なんかい生まれ変わったら
偶然を装って出会えるかな
そのころには今のことなんか
忘れてしまってるんだろうね

だから今がいいな
忘れない今がいい

手帳を覗いたらまだ先みたい
並ぶのが嫌いなあなただから
列を外れてまたすれ違ったり
もうそんなの嫌だよ悲しいな

だから今がいいな
今のあなたがいい

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晩秋

11月だものね
やはり夜は冷え込んで
庭の椅子から眺める月は冴えて
きみの声を聴きながら
あたしはそっと温もる

まだ裸足でね
忍び寄るのは夜の土
風の便りをつま先で感じては
きみのことを案じながら
あたしは根を走らせる

昼に見せる顔は
そう長くはないアキソラ
東から吹く風はもう優しくはない
きみの眼差しを抱き寄せ
あたしはコートの釦を

コートの釦をひとつかける
きみと一緒に冬を迎えようと

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名無しのうた

利き足で踏み切っても
アベレージはないと今日の風は笑う
足しても割っても導く答えはなく
私は自分以外の何者でもなく誰でもいい

磨り減った踵を鳴らし
悪戯にに起き上がらせた静寂じゃない
馴染みの靴屋がまたまた休み
足を知りつくした職人は気まぐれ営業

継ぐものの足に踏まれ
倒れた伏した身体を拒む土でいい
名も無き枯れ草の根を守り
私が誰であろうと知ったことじゃないのだ

ぶらぶらと足もと遊ばせ
掛けても賭けても増えないゼロと
百年程度でいいオン・ザ・ロック
永遠に退屈するが故に今を飲み干してる

アベレージはないと今日の風は笑う
退屈するが故に永遠を飲み干してる

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哀しいくらい小春日和

君は一人じゃない
私は一人である
世間知らずの覚えがある
知らなくてもいい世界は
これから吹く風の強さを

君は全て知っている
私は何も知らない
汚れない手を拭いながら
哂う背後はぐるぐる回る
目眩のような足取りで

君は独りじゃない
私は独りである
哀しいくらいの小春日和
いつの間にか寒々しい
木々のすき間を風が

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