こころのいちばんやはらかいところ

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冬の花

かよいなれた道には
探し物も気づきも無く
草むらに紛れている
水仙の花の背すじに
打ち明けない心を見る

かわらない動作に
疑いもあこがれも無く
卑しい血栓が破裂しないよう
頓服のように毎日を鵜呑みにする人
座椅子には曲がった背骨の癖がつき
しあわせとかふしあわせより
既存をただ生き延びようと
疑いもあこがれも無く
ありふれた動作に

かよいなれた道には
探し物も気づきも無く
気づかれぬようにつぶら
白梅の静かなる花に
心で薫る品をたてて




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たったひとりの君


時がおしよせた砂丘のなかから
たった一粒の君を見つける
たった一粒の私を見つめる
そのくらい不可能に近いそれ
そうやってめぐり合ったとは
思わない?

あたしはそう思っている
あなたはどう思っている?

たったひとりの君







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It' me

この道は何処に続く

歩き出すときにママが強く手を握り
ものいいたげに すぐ口はつぐんで
目に涙を滲ませ でも微笑んでいた

もう行きなさいとパパは背中を押し
目配せしながら すぐ靴に目を落とす
振り向いたけど もう横を向いてた

この道は何処に続く





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裏庭には霜柱がたっています
土のなかから這い出した水が
天に向かって還ろうとしてね

そんなに急がなくても大丈夫
春になれば
春になれば


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Africa

ずっとむかし きみを抱っこしていた
陽が昇れば今日が始まり
きみは疑いもおこさず乳を求めて
泣いては眠り腹を空かせ
お日さんに目を細めては紺碧を笑い
その手は何を握りしめていたの

地平線は この世の美しさを纏って
陽が沈めば今日が終わる
漆黒の夜のカーテンの房を下ろし
星の瞬きと月の満ち欠けに
きみのからだの中の海は穏やかで
ゆり篭を揺らす手は規則正しく

覚えているかな 覚えているかな

沈黙の 大気を震わせ唄ったんだ
きみが愚図って眠れぬ夜は
悪い夢に連れて行かれないように
きみの大地が寝鎮まるまで
衣を脱いだ白い月がまどろんで
泣きつかれた目じりに光の珠

聴こえてるかな 聴こえてるかな

わたしは今も ──
    唄っているんだ







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にんげん

カタチのあるものはいつかは滅びる
それは生命の循環のなかで必要不可欠
土に還らないモノは異物だと気づき始めた人類
地球を蝕む融けない殻がみなの呼吸を妨げる
乾いた咳が他人をそばに寄せない

心地よい言葉ばかりを耳に聴いて
理想には労働者の汗と涙の一文はあるが
苦言を呈したメモは握り潰され部下の首を晒す
アドリブの利かない役者、国を挙げての茶番劇
幕の袖に頭でっかちとメディアの控え

人間を排除した神の存在は一人の手に
真理は勘違いと自我を破れない誰かの欲望に
憎しみを帯びた弾を乱打し人口のバランスが保たれる
愛のない戦いに生まれた意味を知ることなく
泣き、怯え、悲しみ、こと切れる童子

ひとつ屋根の下に埋もれていく日常で
育たない母性と立場という柱に寄りかかる父
身勝手を手本にのびのびと育っていくのはわが子で
学校や社会を敵に回して多勢も無勢も
生き辛いか?生き辛いよな。──それでも!

にんげんは
許されたから生まれてきて
許しながら死んでいくのだ

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荷造りをしている
箱にしまったものを眺めて
きっとこれは開けないだろうと
最後に手を置いて蓋を閉めた

紐でがんじからめに縛るでもなく
テープで厳重にとめる必要もなく

少しの間だけ背中で所在を感じ
風景の全体像にまぎれ込んで
潜在意識の底の底へ沈み
私の中に解けていく







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アサキユメノナカニテ

それが浅い眠りのなかの夢だとして
身体は少しだけ睡眠をむさぼり
研ぎ澄まされてる映像に手を伸ばし
解き放つことを促すようにそっと握る

それは「していいの?」ともういちど
不思議そうに尋ねる子どものよう
「無論」と微笑みながら答えるのは
ねぇ、いったい誰だったんだろうね

すすり泣いて詰まった鼻がスーッと
こころはささくれの無い深呼吸をして




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色の抜けたCOLOR

夢の出口にたたずむ扉をあけて
リビングは付けっぱなしのテレビ
年を跨いだ娘が炬燵で眠ってる

なんだかんだと忙しくて普通の朝

お正月は時代と共に色づくのに
思い出せない事柄になっていく
何が違うのかは眠る娘の夢の中

なんだかんだとそう設えた普通の朝

あたしの子どものころの白黒寫眞
着物を着た母さんに抱っこされて
玄関で撮った特別がイロ鮮やかに

なんだかんだと昔をヲモウ普通の朝
なんだかんだと静かに明けた一日の朝














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