こころのいちばんやはらかいところ

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今日を裏切るくらいの気持ちで


明日はタブン忘れそうだから
今夜のうちにカレンダーを破いた
斜線を引いた過去を丸めて
まだ見ぬ明日の予定を書こう

わたしの首はうなだれるためのものじゃなく
ゴキゲンな曲のビートを刻むためにある
ダイジョウブ、と一つ深く頷いて
泣きそうなこころを励ます首もある
アップテンポでアスファルトを蹴って
木枯らしに胸元を明け渡さないように

お気に入りのスニーカーを履いて
シケた今日を裏切るくらいの気持ちで


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二者会談


私は私を質問攻めにしていた
問う方も答える方も
息が詰まるほどくそ真面目で
しなきゃよかったと思わせる顔あわせで
部屋の空気は次の言葉で粉々になりそうだった
それを目論んだ無表情の私が
窓を外から打ち付けて外気を遮断してしまった

「どっちも滅んでしまえ!」

ああ、新登場のあなたは誰?
以前、お会いしたことありましたっけ?

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存在


うすうすは勘づいていたけれど
場違いな存在
勘違いの連鎖
ありもしないことを在るといい
月に照らされた長い影を身丈と

自分でも恐ろしくなる

簡単な思考回路
複雑な心の迷路

自分でも恐ろしくなる

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悠久の河


原始の流れは滞ることなく
哀しみの色を湛えてゆったりと横たわり
朝焼けに浮かび上がる黒いうねりが
血を送り出す鼓動をひとつ打った
目覚めの肩を叩かれて
意志の無い日も生きる承諾をする

魂のひしめき合う悪天の日に
苦しみや悲しみや愛憎が荒れ狂う濁流で
削がれ洗われ無垢に近づいていくほど
生きる痛みはこころに沁みていく
それすらも抱きしめては
晴れた日を想いうかべて泣いている

磨きぬかれた鏡より鮮明で
ほころぶ笑顔を誘った青空と白い雲を写す
天上の出来事を手に掬ってみたのだ
さっきといまの大差はないけれど
指のすき間を零れていく
儚さに生きることは愚かなのか


原始の河は今日も流れる
いつからか いつまでか 
どこからか どこまでか
わたしは ぼくは 
あなたは きみは

夕日に映える紅いさざなみ
海原を目指す川面の揺り籠
煙突の煙りが垂直に昇った
鼓膜に宿る凪の音
そんなとき
そっと繋ぐ手が隣にあったら


           p.s. 悠久の河のなかにて
           小さき者、と哂ってくれるな

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夕刻


雨振る国道は薄情な河のように見えた
この橋を渡ると夜になるのか
赤いテールランプで堰留まった十字路
それ以外はぼんやりと滲みながら
網膜を往きすぎて夜に向かって急いでいた
過ごした一日を疑いもせずに
でたらめな鼻歌には意味などなく
ぽっかりとあいた胸の穴に寄り掛かって
空々しく過ごすように

近ごろの私といえば
自分を騙すことを覚え
頭のてっぺんのほうで
たわいもないことだけを考え
心の中洲に置いた仮住まいの小屋で
シャボン玉のように浮かぶ哀愁を
指で割っては片隅に追いやる
その仕草にいつしか慣れてしまうことが怖い

私は私に同情した
惨めさで顔が歪んだ
でたらめを通り越して

誰もが自分のことで氾濫する河で
自殺した流木に摑まって淀んだ
腹の底あたりから生まれた自嘲が
私の優しさの内側に不愉快な振動を与えた

誰も私を生きられやしないのに!


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午後


裏の小川のせせらぎが
いとも簡単に連れていくのだ
作為のない内緒話のようにチロチロと心地よく
葉陰から零れるちょっとだけでしゃばりな陽ざしと
空の話をやめないソプラノの小鳥
久しく遠のいた地上ののささやきが
ここにはあたりまえのような顔をして
そっと生きている

雨の降る日は川底を洗い
水に棲む生き物たちはそれに背かず
流されては上流を目指し戻ってくるのだろうか
キラキラ光る水面に黄色い落ち葉が旅にでた
美しい流線型を自慢げに走らせる魚
水鳥は流れを掻いて昼下がりに浮かぶ
ここでは何もかもがあたりまえでなく
そっと生きている

あたしたちってばかだね
声にだして言ってみた

フッ、と笑った

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わかっている


本音なんて自分の鼓膜にしか響かないものだし
誰にも打ち明けはしないだろう
なにも分かってはいないと詰め寄るのもなんだし
文字に沈む私らしき人を眺めて

ああ、でも
わたしは私から脱落しないことだけ承知している

わかってる
わかってる
知りたくもないけど
わかってる
っつうか
お前、誰?

ああ、面倒

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