こころのいちばんやはらかいところ

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One


無遠慮な孤独は沈黙などしないので
世界は辻褄の合わないことだらけで
達成された違和感を問いただそうとはせず
ずいぶん昔に居たかもしれない私を呼び出した

まだ
名のない頃
何をみて笑っていたのか
知りたがったのは誰だったのか

私をさておき

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いつか私は


いつか私は安穏を得るだろう
自分以外のいのち育むすべてから

いつか私は激怒するのだろう
自分以外の一瞥すらされない不条理に

いつか私は号泣するのだろう
自分以外の後悔という向こう側の道に

いつか私は普通に笑うのだろう
自分以外の全てが許されていることに

いつか私は知ることとなる
それらは持っていかれないこと

     *

わたしは私以外からしか
自分をみることができない

     *

それから独りであり続けた永き時間に
自分の中の静かなる愛を問う

それから生き続けた肉体とこころに
自分の中に見なかった夢を語る

それから大人になれなかった少女に
自分の中の女は今も生きてると教え

そして耳打ちも無く加速した老いに
自分の中で主人公たちは裸同然となる

それと

いつか私は魂が抜けたりする
あまりにも早く、若しくは遅れて来たことを知り

それらは
神の計算づくであったこと、

私は
びっくりして
それから
可笑しくなって笑う

とりあえず笑った後
ゆっくり深呼吸なんかをして
まるで 感慨深げ みたいに
頷いたりするのだ

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最後になる僕らは


僕らは最後尾で待っている
知るのは何時もいちばん最後

空の青さに暴かれるのは
僕の心ではない
悲しみの笛の音を聞くのは
彼が去ったあと
今はどの語り部も沈黙し
僕らは待ってる振りをする
終わりの後ろに回りこんで
身じろぎするまでずっと

風の道にたどり着くのは
君の影ではない
疑いを知らぬ足音が響くのは
僕が死んだあと
今はどの道しるべも消えかかって
僕らは開拓している気になった
始まりの初めに立つひとが
いることなんて露も知らず

僕らは最後尾で待っている
知るのは何時もいちばん最後
知るのは何時でも最初で最後

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横須賀線


ちょっと長い一駅
まだ見慣れない車窓から
雑木林が駆けていく
夜は 
来るのではなく
ずっと前から居る
そして
もうすぐ ぬっと顔を寄せる
遠くで騒がしい感情の梢たち

今日はどうだった?
わたしダイジョウブ?
そんな日もあるさ
音もなく ザワザワザワザワ


ビルの窓や看板は
やんわりとした黄金に映え
伏せた睫毛を揺らす
夜は 
来るのではなく
ずっと前から居る
そして
もうすぐ ふっとため息つく
規則正しさに添う虚ろな車輪

わたしダイジョウブ?
明日ダイジョウブ?
こんな日もあるさ
影もなく ざわざわざわざわ


もうすぐ 私でなくなる
もうすぐ 誰でもなくなる
わたしダイジョウブ?
きみはダイジョウブ?
そんなこんなで

音もなく 
影もなく
夢でなく、

ざわざわざわざわ 

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ひぐらし鳴いて


嗚呼、
ひぐらし

例えば
今、まさに別れ話を持ち出されて
鼓膜が私を護るため
白く濁ったとしても
透き通った羽根の
透き通った七色は
死の上で艶やかに震える生

「あっ」と「ずっと」はひとつの線
うんざり飽きたメビウスの輪

彼等は遠巻きに囲い
私は埋没する
彼等は交信を断ち切り
私は唖然とする

音なき君の唇を読み

嗚呼、
ひぐらし

反響す

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