こころのいちばんやはらかいところ

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「君」という駅への切符は
今日を生きる希望
明日につながる道

改札を抜けなくても
持っているだけでも
良かったんだ
ささやかなる僕の幸せ

きっと此処から動けない
きっと其処へは行かれない

インクが滲んで
「君」の文字が消えてしまうまで握り締めて
幾度となく最終列車を見送った

夜は長く冬は始まったばかりで
天窓に掛かる月は
満ち欠けを繰り返し
時間だけが通り過ぎてゆく
瞼の裏に棲みついた笑顔は誰のもの

構内の高い天井を
何度も仰ぎながら
白くあがってゆく
ため息をずっと見てる
響くのはいつかの君の声
懐かしさがこみ上げてくる

老いていることは
もう忘れた
ベンチに座ったまま
白いひげのなか
静かな幸せの口を結び
…微笑ってる

君への切符を握りしめ
永眠ったことにも気付かずに
僕は

…微笑ってる

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