こころのいちばんやはらかいところ

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たるい風が吹いている
夏の残骸がそこにある
不特定多数に愛を囁く
ありったけの言葉が並ぶ
それは何色なんだろう
透明なのか姿みえず

心無い風は無責任で
後ろめたい自慰のよう
眩しい太陽に抱かれる
窓辺の鉢植えは友達
それは明らかな素顔で
緩い耳打ちには揺れず

風が止んだある日の朝
秋のとびらの鍵が開く
降り立つ鳩は一羽だけ
カーニバルの鳩じゃない
それは手紙の配達人
唯一、招き入れられる

風の色が変わることを
はるか彼方に知らせる
見知らぬ誰かではない
遍く存在する君でもない
それは鳩だけが知る
天空の声をかすめて

凍える風を知る者だけに
示される厳しき道しるべ
かぶれた透明の街色は
上昇できぬ冷気の仕切り
それは感じることは愚か
許可書も下りないだろう

そんな風の吹く窓辺の
硝子はその姿を写さない
無色は虚しく通りすぎる
剥げたペンキの木枠
それは拘る以前の話で
敢えて上塗りをしない

風の便りが届くたびに
刻まれていく時の流れ
ささくれは模写できず
味わいはたったひとつ
それは何色なんだろう
だれにも追いつけない

たるい風は街に屯する
今ならまだ間に合うだろう
繋ぐ手は間違えることなく
似たような温度が寄り添う
それは束になって遷ろう
虚しさは季節風に乗って

聖域は常に仰々しいとは限らず
一族は目立たぬように紛れてる

風が窓を選ぶのではなく
窓が風を選ぶのだ

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