こころのいちばんやはらかいところ

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9月の庭

芝生がひんやりしてきたよ
足の裏の感触も心なしか優しい
夕方になると風向きが変わるから
長袖のカーディガンを羽織って椅子に揺れる

きみの絵葉書を栞にした本
夏の間は閉じたままだったけれど
少しずつ切ない夜が増えてくるから
夢紀行を進めておかないと季節に置き去り

暖炉に火を入れるころには
庭の木々は赤や黄色の葉を落とし
あたしの溜め息を上から覆い隠してしまう
落ち葉が積っている庭の木戸を開けたときに
急いでそれを踏まないように気をつけてね
待ち焦がれた紅い色で少しうず高く
そうっとやってきて驚かせて

そんなことを思い浮かべて
一人で微笑っている私、どうかしてる
ううん、きみはずっと心の中で生きていて
私がいつか追いつくまで其処を動かないでいて

私はずっとお婆さんになって
きみは驚いた顔をするのかしらね
風にそよぐ力ない髪は白くなっていても
この手をみて「相変わらず手は年をとらないね」と

──微笑ってくれるのかしらね

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