こころのいちばんやはらかいところ

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灰色ノスタルジック

国道がまだ剥きだしの土のころ
タイヤが踏むところは窪んでしまって
雨が降るとぬかるみになった
停留所に留まるときにグッと傾き
泥水を撥ねる 
子どもたちは「わぁ」と言って傘を翳す

雨に不機嫌な大人たちは我先にと
子どもは騙されてどんどん後回しになる
不思議な声色の車掌さんは
腰の鞄から切符を売り鋏を入れる
それがかっこいい
混んでいるとそれも省かれて少し傷つく

満員バスの大人の口は乱暴で
あたまの上は蒸した文句ばかり
ドアはひとつで乗り降りするから
巻き込まれて降りられなくなる
降りますよ!
親切なおばさんが子どものために怒鳴る

揉まれながらバスから飛び降りる
着地地点の水たまりを騒がせながら
振り向いてお辞儀をする
おばさんはもう他所を向いて
ちょっとほっとした
おしくらまんじゅうに気をとられて傘をなくした

バスの背中は左右に揺れながら
雨脚に愚痴をこぼしながら走ってゆく
小学校までは友達の傘で
失うことの虚しさと怒られる帰宅を憂う
そんな一日
夕方の停留所に座ったまま雨は止まず

トタン屋根から落ちる水の音、ずっと止まず

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