こころのいちばんやはらかいところ

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時計

右手首の時計は私の時を刻む
見過ごした時間もサボらず刻む
西への帰路が間近な陽は肌寒く
バス待ちの老婆に時を尋ねられ
袖に隠れた遅い午後を呼び出す

時計は止まっていた

携帯を開き正しい時刻を伝える
安心した老婆は定期を握り締め
直に来るバスを心待ちにしてる
時計の時刻を合わせねじを巻き
動かない時を見つめ溜息を一つ

時計は止まったまま

老夫婦の営む時計店に足を運ぶ
その前がいつだったか三年前か
店は跡形もなく取り壊されていて
会話の無い効率のいい駐車場が
継ぐものが居なかったのだと嘆いた

時計は止まっていた

最後に交わした会話を思い出す
店主が電池を換えて掃除をする
奥さんが隣に立ち世間話をする
15年の歳月を喫茶店から眺め
なるべく前向きな想像をするけど

時計は止まったまま

私の「時」は止まったまま

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2 Comments

マダム半世紀 says...""
ショートショートのような「詩」は、私の好物です。頭の中で映像になるから。^^
この「時計」も、素敵なドラマのラストシーンを思い浮かべました。

でもリアルでは、止まった「時」が動き出す事を願っています。^^
2009.12.08 01:03 | URL | #- [edit]
眞冬 says..."マダムさん"
お久しぶりです^^

そうやって時の流れの一部になっていくんですね。

時計は、別の店で直してもらいました。
なんとか動いております。
ありがとうございます。


2009.12.08 09:44 | URL | #- [edit]

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