こころのいちばんやはらかいところ

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通り雨


直ぐに止むだろうと思った
「ツイてないな」の今日だとしても
美容院の帰りだったから
いつもなら横目で通り過ぎる喫茶店だけれど
立ち止まってもいいかなと

扉を開けるとドアベルが
「いらっしゃい」と迎えてくれて
ハンケチで滴を押さえながら
吸い込まれるように仄暗い誰かの指定席
迷わず奥の椅子に座る

通り雨なら直ぐに止むけれど

はめ殺し窓の向こう側に
逃げるような早あるきの私をみた
傘を受け取らなかったのは
君に会う口実を抱きしめて生きてしまうから
本当はあの日も此処にいた



「通り雨ってやつですね」
店主の温かい無関心が陶磁のカップで香る
指でねじった髪がするっとほどけて
はにかんだような視線で答える

「通り雨ってやつですね」と

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