こころのいちばんやはらかいところ

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Saudade

剥きだした赤土の彼方の陽炎も消え
轍のあいだを生き延びる雑草が
西からやってくる夕方の風になびく

時の彼方への想いは詩集を読むように
海風が心地よいデッキで過ごし
ソーダ水のグラスの中で陽が沈む

ひんやりとした感触を確かめるように
芝生の刺激に素足を委ねる
水平線をたゆとう朱がのまれるまで

波の寄せ返しだけが鼓膜を刺激する
気の抜けたソーダを飲み干し
遠い昔に交わした言葉をふと思い出す

宵闇に息を吹き返す小さく揺らめく炎
風にあおられチリチリと鳴る
戻るように促す紫煙 つま先は部屋に向く

深い夜はこれから
長い夜はこれから
目覚めはこれから

思い出になるまでには未だ鮮やかな色
残夏の頃には陽に焼けて
褪せていく「時」に触れて指先が少し泣く

褪せていく「時」に触れて指先が少し泣く

  

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