こころのいちばんやはらかいところ

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冬に懐かしい青空はずっと高い
それから何かに遠い
届かないと知りながら
なにか言葉を持ってきた
(そうじゃない)

やさしさは悲しみの深さと似てる
わたしは何も量れない
いちど満ちてしまうと
あとはただ滴る不愉快さ
(そうだったんだ)

手の届かないところにあるもの
それは言葉に過ぎぬ
それぞれの所有する
なにか言い忘れたこと
(それも"声"だ)

わたしのこころはあたたかい
だが言葉は尖ったものになる
素直は感情の支配下にあり
正直は己との戦いです

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わたしが言葉と向き合うとき
そこには誰も居ない
誰かがそれを読み始めたとき
そこにわたしは居ない

わたしは愛について問う
そして誰かが答える
わたしは何も訊いてはいない
あなたは自問自答したのだ

わたしが核と対峙するとき
沈黙の群衆が取り囲む
それらの膚の荒々しい部分で
古い細胞を削ぎ落とす

わたしが愛をうたう
すると誰かの鼓膜が震える
わたしは何も歌ってはいない
あなたが唄った声なのだ

わたしの森

誰かがわたしを鳥瞰する
わたしは水脈を証す
わたしは自らを生み続けるが
報せを馳せることはない

誰かが愛について問う
わたしはそれに答える

耳を澄ますとき
瞼をそうっと閉じる時の静けさだと

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朝の力


朝陽は燦々と降りそそぐ
毛布を剥がないまま
夜の冷たさも抱いていた

朝の力は
誰にでも等しく

光のなか隠しだてのない手の皺を眺め
残れる日々の朝を数える
指を折れなくなる日まで

この季節 いちばん低い太陽は
わたしを部屋の奥まで追いやる
同じ仕草の私は微笑っている?
わたしは 笑っているよ

分け隔て無さを身に受けて
わたしも自分に成る

朝陽は燦々と降りそそぐ
毛布を肩から下ろし
今日のため昨夜を逃がす

朝の力は
誰にでも等しく





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アイトマートフの木


まだ見ぬ景色に根を走らせよう
わたしを遠くまで連れていってほしい
わたしはわたしを破り伸びていく

無傷の空に近しいものになりたい
制空権を持つものたちの目印になりたい
孤独な風の聞き上手になりたい

遠くへ旅立つ老人には思い出話をしよう
約束のわたしを解放してくれないか?
あなたさえ忘れた秘密の存在

少年の宝箱には裸根のすき間を与えよう
この枝では大人になると見えなくなるもの
しがみついて登っておいで

泣いたあなたをどうすることも出来ず
悲しみを知った梢を震わせてみたものの
わたしは銀河のでくのぼう
 

冬には眠る芽を守り 春には天地を賑わせて
夏には大気と交感し 秋には凡てお返しする

ぶっ足ったまま生きるを証す
わたしはただの名もない木

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